月に一度、能登の外に能登の今を届けるオンライン報告会、『シン・いやさか会議』を開催しています。
今回は、テーマを『輪島の今』とし、輪島市内で活動するプレイヤーの皆様にご登壇いただきました。
【登壇者】
能門亜由子さん(重蔵神社/能登ふるさと研究所)
奥田和也さん(奥能登元気プロジェクト)
山下祐介さん(町野復興プロジェクト実行委員会)
各登壇者からの報告
能門 亜由子さん(重蔵神社/能登ふるさと研究所)
エリア: 輪島市河井町(街中エリア)
現状: 公費解体がほぼ終わり更地が増加。公営住宅建設の遅れから仮設住宅での生活が厳しくなり、人口減少を肌で感じている 。
活動:
・発災直後は炊き出し、支援物資の配布、支援者・被災者のコーディネートを実施 。
・任意団体「輪島ファーストペンギン」を立ち上げ、民間ボランティアセンターを運営 。
・「一般社団法人能登ふるさと研究所」では、漆の植樹プロジェクトや観光コンテンツ開発、ガイド養成講座を実施 。
・地域住民と協力し、商店街の買い物難民問題や集まれる場所の不足を解消するため、来春を目途に地域拠点を兼ねた買い物ができる場所の開店を目指している 。
奥田 和也さん(奥能登元気プロジェクト)
エリア: 輪島市南志見地区
現状: 地震前の人口700人弱から半数以下に減少。高齢化率が高く、仮設住宅にも空きがある状況。災害公営住宅の計画がまとまらず、既存の仮設住宅を転用する可能性 。
活動:
・孤立地区となった中、早期にカフェ・飲食の営業を再開。
・社員の避難や離職があったが、8月には全員戻り業務を再開。パートとして地元のお年寄りも雇用し、地域での仕事づくりに努めている 。
「南志見市場」として倉庫をツアー受け入れ施設に転用。視察ツアーを積極的に呼び込み、地域外からの経済循環を生み出そうとしている 。
・地域経済の確立を最優先し、賑わいをイベントだけでなく経済で実現することを目指している 。
山下 祐介氏(町野復興プロジェクト実行委員会)
エリア: 輪島市町野町
現状: 地震と豪雨の二重災害に見舞われた。人口は発災前の2000人から実態として約1000人に減少と推定。仮設住宅の高齢化率も高い 。
活動:
・発災直後から地元有志で団体を立ち上げ、住民向けイベントを実施 。
・豪雨災害後、ボランティアセンター運営を実施 。
・タクシー事業者が不在のため、移動支援(ライドシェア)を担い、現在は公共版ライドシェアの運行調整をサポート 。
・臨時災害放送局「まちのラジオ」を開局。北陸三県で初の事例であり、情報発信を行っている
2年が経過する今、各プレイヤーが抱える不安・課題
発災から間もなく2年が経過する中で、活動を牽引するリーダー陣から共通して挙げられた課題は、「人」と「資金(お金)」でした。
「人」の課題
・活動が多岐にわたり、やりたいことは増えるが、マンパワーが不足している 。
・現地でのサポート人材や、組織全体を管理・運営する専任スタッフが不足している 。
・奥田氏の会社では、能登での生活・仕事の厳しさから若手職員の離職も発生し、職員構成が社員からパート中心に逆転している 。
「資金」の課題
・まちのラジオの運営費(年間ランニングコスト約1000万円)のように、活動継続のための資金が不足 。
・特に人件費の確保が大きく、ボランティアベースではなく、雇用として活動者を支えるための恒常的な財源が必要 。
参加者へ向けたメッセージ
能登の外から参加する皆様に対し、現地リーダーからは以下のメッセージが送られました。
直接的な資金支援を
能登で活動する団体に直接寄付をしてほしい 。行政への寄付は使途が分かりにくいため、継続的な活動に必要な資金として、活動内容を選んで届く支援を求めている。
能登を「学びの場」として視察に来てほしい
能登は日本の最先端の場所である 。復興の過程は、商売、学校、研究など、あらゆる分野で学ぶべきことが多い。
「かわいそう」「大変」という同情ではなく、今の能登を見るため、ふらっと遊びに行く感覚で来てほしい 。
支援の「押しつけ」にご注意を
能登の状況は刻々と変わっており、支援が現場の負担になるケースがある 。
「泥だらけになる覚悟でスコップを持っていく」という過去のフェーズの支援は、今では受け入れ側が仕事を探す負担になる。
「現地が何を求めているか」を意識し、その時々のニーズに合った支援をお願いしたい 。
アーカイブはこちらからご覧いただけます。
次回のお知らせ
次回は、「震災から2年を振り返って。」をテーマに開催いたします。
開催日:12月18日(木)19:00〜20:00
詳細・お申し込みは、公式Facebookなどでお知らせいたします。
